十二月十三日は、祇園の芸妓さん舞妓さんが芸事のお師匠さんのところへ挨拶に行きます。昔は室町や西陣の商家でも、「事多しご繁盛で何よりです」という意味で、「おことうさんどす」と挨拶したものです。そしてお正月になれば、三ヶ日にお雑煮を食べる際、「お祝いやす」(いただきます)と言います。
普段の食事時でも供する側は、「ごゆっくりおあがりやす」、「おあがりやしとォくれやす」「めしあがっとォくれやす」と言い、そして食後「ごっつォさん」と言葉をかけられたら、供した側は「よろしィおあがり」、「よろしぃおあがりやす」と言います。
こういう挨拶ことばも、季節の行事やしきたりが一般家庭から消えていくのと同じように、だんだん聞かなくなりました。
『NHK21世紀に残したいふるさと日本のことば』で、京ことばは次の十個です。
1. おおきに
2. おいでやすおこしやす
3. お早ようお帰りやす
4. よろしゅうおあがりやす
5. ほっこり
6. かんにんえ
7. はばかりさん
8. おきばりやす
9. おたの申します
10. はんなり
民俗学者の梅棹忠雄(うめさおただお)さんが、世界三大美しい言葉は「フランス語、北京語、京ことば」だと言われています。これは三つの言葉のイントネーションが似ているからではないかと思われます。何につけても、京都人としては誇らしく、嬉しいですね。
さて、この連載も今回で最後になりました。一年間つたない文章にお付き合いくださいまして、おおきにありがとうございました。
ほなごめんやしとォくれやす。
※このコラムは「月刊 茶の間12月号(よろしおすえ京ことば)」に掲載されたものです。
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