現代の生活に合わない言葉

 「下駄箱の中に入ってる茶色の靴、磨いといてや」
 この言葉ちょっと変だと思いませんか。下駄箱に入っているのは全部靴で、下駄が入っていなくても下駄箱なのです。生活様式が大きく変化したにもかかわらず、昔のままです。
 「筆箱」も同じです。「ペンケース」と言う人もいますが、ほとんどの人が
「筆箱」と呼んでいます。
 身の回りを見てみると、まだありました。
「歯磨き粉」これもチューブに入ってるのが大半で、粉はごく稀ですよね。他にも、今はプラスティックやステンレスなのに「竿竹」、「銭湯」も古いお金の単位です。
 「メリケン粉」アメリカから輸入した小麦粉のことを言ったのですが、京都ではまだ「メリケン粉」と言う人が大勢います。
 このように、生活の変化が著しい現代に、言葉がついていってない面白い例です。
 ところが反対に、昔と今では言葉の意味や使い方がずいぶん変化しているものもあります。
 例えば「晩年」。今は一生の終わりの頃の時期という意味で使われますが、元は亡くなってからのことを言いました。「結局」も、昔は囲碁を一局打ち終えるということだったのです。


 このように、古い名詞をそのまま使ったり、意味が変わったり…。あなたも探してみてはいかがですか。面白い発見がありますよ。

※このコラムは「月刊 茶の間11月号(よろしおすえ京ことば)」に掲載されたものです。


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