京ことばの特徴(2)

 

「メェからヒィが出た」  メェは目、ヒィは火のことです。

 京ことばには、母音を伸ばすという特徴があります。
他にも「字ィ、絵ェ、木ィ、歯ァ、手ェ」などなど。このように、一音が二音に
なるので、ゆったりとした響きに感じられます。
 ある日テレビを観てたら、ベテランの俳優さんが「○○は間が悪い」という
セリフで、アクセントは標準語なのに、「間」を「マァ」と言っていました。
それで、関西人だとすぐに分かったのですが、京都人に限らず、関西出身の人は、
本人は気付いていませんが、ほとんど母音を伸ばします。テレビを観る時に、
こんなところをチェックしてみるのも、一興かなと思います。
 そして興味深いのは敬語の使い方です。名詞などの上に「お」を付けて、
下に「さん」を付けるのです。
 「お寺さん」、「お御興さん」。これらは敬うという点から丁寧にいうのも
理解出来ますが、これはどうでしょう。
「お豆さん」、「お芋さん」。まるで人名のようですが、正真正銘の野菜です。
 なぜ食物にまで「お○○さん」を付けるのか。私見ですが、常に権力闘争に
巻き込まれながら生きなければならなかった庶民は、食生活も非常に厳しいもの
を強いられました。だから食物を大事に大事にして、「お○○さん」を付けるよう
になったのではないでしょうか。
 また、粗末な食物を優雅に言い換えることも巧みだと感心します。大根葉と
小魚の煮物を「ノキシノブとヤヤトトの炊いたん」。「サギシラズ」は、鷺も
見逃す※ゴリの佃煮。何ともオシャレじゃありませんか。京都人の知恵に感服。

※ゴリは川底に生息する小魚

※このコラムは「月刊 茶の間3月号(よろしおすえ京ことば)」に掲載されたものです。


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